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2013年2月13日水曜日

「アベノミクス」の虚構と経済再生の基本方向 社保協学習会

12日は社会保障推進協議会さんの学習会に参加しました。
京都大学教授の岡田知弘さんのお話。
遅れて参加したのですが、会場は熱心にメモをとる人でいっぱい。お話を裏付ける資料データもいっぱいで、あーなるほどな。やっぱりデータは大事(先日の学習協セミナーでも唐鎌さんがおっしゃってた)だと、感じました。

レジメから参加できなかったみなさんへ少し紹介させてもらうと…。

「アベノミクス」では「脱デフレ」はもちろん、私たちの暮らしはよくならない。
①「デフレ」の定義の誤り
 そもそも商品勝ちに対する貨幣価値の増価にともなう物価の全般的低下が起きるのが「デフレーション」。逆に貨幣価値の目減りにともなう物価の全般的上昇が「インフレーション」。小泉構造改革期に、政府は、継続的な物価下落を「デフレ」と呼ぶようになる。→問題を、通貨現象にすりかえて、日銀のゼロ金利政策、金融緩和を求める。
②ゼロ金利・金融緩和政策を遂行しても、GDPは伸びず。
 しかも、超低金利・ゼロ金利政策で、家計は300兆円失った。(2006年、白川日銀理事の国会答弁)
④そもそも「デフレ」の原因は、通貨の供給不足ではなく、賃金・社会保障給付削減と海外生産品の逆輸入による物価低落にある。先進国では日本だけ、雇用者報酬を減らす。
⑤今回、安倍首相は、賃金の引き上げを財界に求めているが、経団連は春闘ではベースアップを認めず。逆に、ホワイトカラーの解雇自由、労働市場の多様化を求める。おそらく、ボーナスや残業手当の積み増しでの総額給与の積み増しで対応。給与増減税も、企業の長期雇用の実現にはつながらず、企業と連合に一時的な利益をもたらすもの。実際、安倍政権も早速、国家公務員の賃金引き下げを継続させたうえ、地方公務員給与の削減を、交付税削減によって一方的に決める。これに生活保護引き下げによる最低賃金水準、年金給付水準の引き下げが連動。
⑥日銀が金融緩和をしたとしても、国民の購買力が落ちている中で企業の生産活動が高まる可能性は少ない。むしろ、株、土地、投資ファンド等の投機資金となるのが、この間の歴史が教えている。また、円安で輸入品が割高になるなかで、常用雇用の増加と賃金の引き上げがなされない傾向が続くならば、勤労者や年金生活者の暮らしは一層ひどくなることは必然。
⑧さらに消費税増税、道州制、TPPが加われば、一部の大企業が潤っても、圧倒的多くの地域経済は疲弊を余儀なくされる。

ひとり一人の住民が大切にされる、地域からの日本経済と財政の再建を
1、「日本経済」を見る目の転換が必要
①官庁エコノミスト流「マクロ経済」の限界
 日本経済を均一な空間とみなし、そこでの物価、金利、円相場、株価、輸出入額、投資、賃金、GDP等の経済指標の分析に終始。
②現実の「日本経済」は、生活領域に近い地域経済が「基礎細胞」となり、そこから経営体や勤労者のより広域的な経済活動が積層することによって形作られている。
 国内の地域ごとに経済活動のあり方が大きく異なる。それは、大企業と中小企業の経済活動のあり方、国や地方自治体の経済活動のあり方によって規定されている。
4、「地域が豊かになる」とは、住民ひとり一人の生活が維持され向上すること。
①立派な道路や建物ができたとしても、また雇用効果の少ないハイテク工場が立地したとしても、そこで住民が住み続けられることができなくなれば、地域の「活性化」とはいえない。
②地域発展の決定的要素→「地域内再投資力」の量的質的形成。地域内にある経済主体(企業、商店、農家、協同組合、NPO、そして地方自治体)が、毎年、地域に再投資を繰り返すことで、そこに仕事と所得が生まれ、生活が維持、拡大される。その再投資規模(量)、個性的な産業、企業、地域景観づくり(質)をいかに高めるかが、問われる。
③地域産業の維持・拡大を通して、住民一人ひとりの生活の営みや地方自治体の税源が保障される。→地域経済の自律性の向上が、財政力の強化につながる。
④地域内の再生さんの維持・拡大は、生活・景観・町並みの再生産につながるうえ、農林水産業の営みは「自然環境」の再生産、国土の保全に寄与する。地域商工業、建設業の存在が、地域社会の防災力を高め、地域社会の維持に貢献する。
⑤最終目標は「一人ひとりが輝く地域」(高橋彦芳・長野県栄村前村長)

おわりに
①新自由主義的グローバリズムと3.11を経験する中で、一部大企業の短期的な「経済性」・効率性を第一にするのか、あるいは自然との共生による一人ひとりの人生を大切にした持続可能な地域・日本をつくるのかの対立が一気に広がる。
②人間の命と暮らしの危機は、医療、保健、教育、産業、雇用、環境、国土保全等、あらゆる領域にわたっており、地域ではそれが相互に結合している。それらの問題を解決すべき地域再生の取り組みが広がる。消費税増税反対、原発再稼働反対、TPP反対運動をめぐる共同の広がり。
③上記の問題を解決すべき地方自治体の役割が高まり、主権者である住民の自治力が問われている。地方自治体(市町村、都道府県)、国家のあり方を決めるのは、主権者としての住民。地域の未来は、地域の住民自身が決め、実践する(地域住民主権)
④運動の質の深化の必要性 個別問題対応型から地域づくり型へ
 現代とは、人間らしい地域生活を主体的に再構築していくための試練の時代
 地域、日本、地球の持続的発展のための創造的運動を。
⑤そのためにも、地域を知り、科学的に将来を見通せる「地域学」が必要不可欠。

ここまで。

この学習会のあと、来春にある京都府知事選挙に向かい、民主府政の会左京連絡会の集まりがありました。前回選挙で奮闘された 門さんが「地域主権」ではなく「地域住民主権」を…とおっしゃっていたのを思い出します。
またみんなで 学んで話してすすみましょう。

社保協での対区要望書も最終段階で提出日程が決まったようです。





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